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インフルエンザ・コロナ検査が新しくなりました|旧検査キット・新検査キット・NODOCAの違い

発熱、のどの痛み、せき、鼻水、強いだるさなどは、インフルエンザでも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)でもみられます。症状だけでは区別しにくいため、検査は診断や治療方針を決めるうえで大切です。

さらに、のどの画像と問診情報をAIで解析する「NODOCA」も導入しました。

当院ではこれまで「PanbioCOVID-19&FluA&Bラピッドパネル鼻咽頭ぬぐい液用」を使用してきました。本記事ではこれを「旧検査キット」と呼びます。今回、「PanbioCOVID-19&FluA&Bラピッドパネル鼻腔ぬぐい液用」を導入しました。本記事ではこれを「新検査キット」と呼びます。

3つの方法は、どれも短時間で診療に役立つ結果が得られますが、「何を調べているのか」「どこから検体を採るのか」「患者さんの負担」「使いやすい年齢・発症時期」「分かる範囲」が異なります。ここを理解すると、なぜ患者さんによって検査を使い分けるのかが分かりやすくなります。

先に結論:3つの検査で一番違うのは「調べ方」と「体への負担」です

新検査キット 鼻の入口から約2cmの「鼻腔」で採取。コロナ+インフルA型+B型を1回で調べられ、旧検査キットより鼻の負担を軽くしやすい検査です。
旧検査キット 鼻の奥の「鼻咽頭」まで綿棒を入れて採取。新検査キットと同じくコロナ+インフルA型+B型を15分で判定します。
NODOCA 鼻に綿棒を入れず、口からのどを撮影し、画像と症状をAI解析。主に発症後48時間以内の6歳以上のインフルエンザ診断を補助します。

1.新検査キット:鼻の入口から約2cmで採れる「鼻腔ぬぐい」の同時抗原検査

新検査キットも、旧検査キットと同じ「抗原検査」です。ウイルスの遺伝子ではなく、ウイルスのたんぱく質である「抗原」を検出します。新型コロナウイルス、A型インフルエンザ、B型インフルエンザを1本の綿棒・1回の検査で同時に調べられ、判定時間は15分です。検査で分かる病原体や判定時間は旧検査キットとほぼ同じで、大きく変わったのは「採取する場所」です。

検査方法と体への負担

旧検査キットの採取時には、綿棒を鼻孔から鼻の奥まで進めます。短時間で終わりますが、鼻の奥に「ツーン」とする刺激や痛みを感じたり、涙やくしゃみが出たりすることがあります。鼻の検査が苦手な方や小さなお子さんでは、この採取そのものが大きな負担になることがあります。

新検査キットでは、綿棒を鼻孔から口蓋と平行にゆっくり約2cm挿入し、鼻腔の壁をこするように5回回転します。その後、同じ綿棒でもう一方の鼻でも採取します。 鼻のかなり奥まで入れる必要がないため、旧検査キットに比べて痛みや強い刺激を減らしやすい方法です。まったく無刺激ではありませんが、「鼻の奥まで入れられるのが怖い」という方には大きな違いがあります。

浅く採っても精度は大丈夫?

同じ患者さんから鼻腔と鼻咽頭の両方を採取して比較した承認時試験では、両者の全体一致率は、新型コロナ98.7%、A型インフルエンザ98.5%、B型インフルエンザ99.5%でした。採取位置を浅くしても、旧検査キットで用いていた鼻咽頭検体と高い一致が確認されています。ただし旧検査キットと同じく、検体中のウイルス量が少ない時期には陰性となることがあります。

一方、新型コロナについて基準検査と比較した別の承認時試験では、陽性一致率80.4%、陰性一致率99.7%でした。これらの数値は試験対象・発症からの日数・比較方法が旧検査キットの試験と異なるため、「数字だけを見て新旧どちらが上」と単純には比較できません。実際の診療では、検査結果に加えて症状、発症時期、周囲の流行状況も合わせて判断します。

どんな場合に向いている?

  • 新型コロナとインフルエンザを1回で同時に調べたい方
  • インフルエンザA型・B型まで区別したい方
  • 鼻咽頭ぬぐいの痛みや不快感をできるだけ減らしたい方
  • NODOCAの対象年齢に満たないお子さんや、NODOCAが適さない方

2.NODOCA:鼻に綿棒を入れず、のどの画像をAIで解析

NODOCAは、旧検査キット・新検査キットとは仕組みがまったく違います。専用カメラでのどを撮影し、咽頭の画像と、体温・自覚症状などの診療情報をAI(深層学習アルゴリズム)が解析して、インフルエンザに特徴的な所見や症状があるかを判定します。ウイルスそのものを直接検出する抗原検査ではなく、「診断を支援するAI医療機器」です。

検査方法と体への負担

専用の舌圧子を付けたカメラを口から入れ、のどの画像を撮影します。鼻に綿棒を入れないため、鼻の痛みはありません。判定開始後は数秒~十数秒で結果が表示されます。 治験では痛みの評価が平均0.8/10と低い一方、706例中12例で非重篤な空嘔吐(「オエッ」となる反応)がみられました。鼻の刺激が苦手な方には向きますが、咽頭反射が強い方では負担になることがあります。

適応:6歳以上、保険診療では発症後48時間以内

NODOCAは6歳未満では有効性・安全性が確立していないため推奨されていません。また、保険診療で算定できるのは6歳以上で、インフルエンザ発症後48時間以内に実施した場合です。意識障害・呼吸不全がある方には使用できず、歯や歯ぐきの状態、口やのどの外傷・手術直後、繰り返す嘔吐などによっても適さない場合があります。

精度は?

インフルエンザについて、国内11施設の臨床試験では陽性一致率76.0%、陰性一致率88.1%、全体一致率84.5%でした。 NODOCAは抗原を直接測る検査ではないため、抗原検査と数値をそのまま横並びにして「どちらが優れている」と判断するものではありません。発症からの時間やのどの所見も含めて、医師が診断に利用します。

新型コロナも分かる?

現在のNODOCAには、インフルエンザ検査を行う際のオプションとして、新型コロナに特徴的な所見・症状をAIで評価する機能があります。ただし、新型コロナだけを目的に単独使用する機能ではありません。結果は「検出あり」「検出なし」「判定保留」で表示され、性能評価試験では72.8%が「判定保留」でした。そのため、新型コロナを明確に確認したい場合には、新検査キットなど原理の異なる検査を選択・追加します。

なお、2026年6月から、NODOCAでインフルエンザ検査に併せて行う新型コロナ解析の費用は、NODOCAの所定点数305点に含まれています。

3.3つの検査を「方法・負担・適応」で比較

検査 何を調べる? 検査方法・時間 体への負担 主な適応・向いている場面
旧検査キット コロナ抗原+インフルA/B抗原 鼻の奥(鼻咽頭)から採取/約15分 3つの中では鼻の刺激が強め。痛み・不快感が出やすい コロナとインフルA/Bを同時に確認したい場合。これまで当院で使用していた方法
新検査キット コロナ抗原+インフルA/B抗原 鼻の入口から約2cm、両鼻から採取/約15分 鼻の奥まで入れないため、旧検査キットより負担を軽くしやすい コロナ+インフルA/Bを同時に確認しつつ、鼻の負担を減らしたい場合
NODOCA 主にインフルエンザのAI診断支援。A/B型の区別は不可。コロナは同時オプションの診断支援 口からのどを撮影し、画像+症状をAI解析/判定開始後 数秒~十数秒 鼻の痛みなし。咽頭反射で「オエッ」となることはある 6歳以上・発症後48時間以内のインフルエンザ疑い。鼻の検査が苦手な方

4.精度と費用負担を比較

精度の数値は、それぞれ異なる試験条件で評価されています。そのため「数字が高い=必ずその検査が一番よい」とは言えません。とくにNODOCAはウイルスを直接検出する検査ではなく、評価している内容そのものが抗原検査と異なります。

検査 精度の目安(承認資料) 1割負担 2割負担 3割負担
旧検査キット コロナ:陽性一致94.8%、陰性一致100%。インフルA/B:既承認検査との全体一致99.2%/99.7% 約394円 約788円 約1,182円
新検査キット 鼻腔と鼻咽頭の全体一致:コロナ98.7%、A型98.5%、B型99.5%。コロナの基準検査との比較:陽性一致80.4%、陰性一致99.7% 約394円 約788円 約1,182円
NODOCA インフル:陽性一致76.0%、陰性一致88.1%、全体一致84.5%。コロナ機能は判定保留が多い 約305円 約610円 約915円

※費用は「検査に関連する主な診療報酬」の目安です。旧・新検査キットは、同時抗原検査225点+免疫学的検査判断料144点+鼻腔・咽頭拭い液採取25点=394点として計算しています。免疫学的検査判断料は月1回など算定条件があり、実際の窓口負担は受診状況で異なることがあります。NODOCAは305点です。初診料・再診料、処方、その他の検査・加算、医療費助成は別です。1点=10円として自己負担割合を掛けた概算です。

5.当院では、どの検査を選ぶ?

検査は「痛みが少ないものを全員に行う」「精度の数字が一番高いものを行う」という選び方ではありません。何を知る必要があるのか、年齢、発症からの時間、鼻やのどの検査への苦手意識などを考えて選びます。

  • コロナかインフルかを一度に調べ、A型・B型まで知りたい → 新検査キットが分かりやすい選択肢
  • 鼻に綿棒を入れる検査がどうしても苦手で、6歳以上・発症後24時間以内のインフルエンザ疑い → NODOCAを検討
  • 6歳未満、A型/B型の区別が必要、新型コロナを抗原で確認したい → 新検査キットを優先して検討
  • 口腔・咽頭の状態や強い咽頭反射などでNODOCAが適さない → 鼻腔ぬぐいによる新検査キットを検討

また、どの検査も「陰性なら100%感染していない」と言い切れるものではありません。抗原検査は発症直後などウイルス量が少ない時期に陰性となることがあり、NODOCAもAIの判定だけで確定診断する検査ではありません。症状や発症時期、診察所見、周囲の流行状況を合わせて医師が総合的に判断します。

6.よくある質問(FAQ)

Q1.一番痛みが少ない検査は?

A.鼻に綿棒を入れないという意味ではNODOCAが最も鼻の負担が少ない検査です。ただし、口からのどを撮影するため、咽頭反射で「オエッ」となることがあります。新検査キットは約2cmの鼻腔採取なので、旧検査キットより鼻の負担を軽くしやすい方法です。

Q2.新検査キットは、浅く採る分だけ精度が落ちませんか?

A.承認時の同一患者での比較では、鼻腔と鼻咽頭の検体の全体一致率はコロナ98.7%、A型98.5%、B型99.5%でした。ただし、正しい位置で十分な量を採ることは重要です。

Q3.NODOCAでインフルエンザA型・B型は分かりますか?

A.分かりません。NODOCAはインフルエンザに特徴的な所見・症状の有無を判定する検査です。A型・B型まで区別する必要がある場合は新検査キットを使います。

Q4.NODOCAだけで新型コロナを診断できますか?

A.新型コロナだけを目的として単独で使用することはできません。インフルエンザ検査時のオプションとして診断支援情報を表示しますが、「判定保留」も多いため、必要に応じて新検査キットなど別原理の検査を行います。

Q5.症状が出てすぐでも検査できますか?

A.検査自体は可能ですが、抗原検査は発症直後でウイルス量が少ないと陰性になることがあります。NODOCAは保険診療では発症後48時間以内が対象です。発症した時刻を受診時にお伝えください。

Q6.費用が一番安いのはどれですか?

A.検査に関連する主な保険点数では、旧・新検査キットは同額で、NODOCAの方がやや低い設定です。ただし、検査で分かる内容が異なるため、費用だけで選ぶのではなく、必要な診断情報に合わせて決めます。

まとめ:新検査キットで鼻の負担を減らし、NODOCAで「鼻に入れない」選択肢も

当院でこれまで使用していた旧検査キットと、新しく導入した新検査キットは、どちらも新型コロナ・インフルエンザA型・B型を同時に15分で判定する抗原検査です。大きな違いは採取する場所で、旧検査キットは鼻の奥の鼻咽頭、新検査キットは鼻の入口から約2cmの鼻腔から採取します。新検査キットは、必要な診断情報を保ちながら、患者さんの鼻への負担を減らしやすくなりました。

NODOCAは、のどの画像と問診情報をAIで解析する全く別の検査です。鼻に綿棒を入れないことが大きな利点ですが、6歳以上・発症後48時間以内という保険上の条件があり、インフルエンザA/B型の区別はできません。新型コロナ機能も診断支援であり、必要に応じて新検査キットを組み合わせます。

「どの検査を受ければよいか分からない」という場合でも、受診時に症状が始まった時刻や、鼻の検査が苦手かどうかをお伝えいただければ、診察のうえ適した方法をご案内します。

参考文献・公的資料

1. Abbott:Panbio™ COVID-19/Flu A&B ラピッド パネル(鼻咽頭ぬぐい液用)製品情報
2. PMDA:Panbio™ COVID-19/Flu A&B ラピッド パネル(鼻咽頭ぬぐい液用)電子添文(2025年1月 第2版)
3. PMDA:Panbio™ COVID-19/Flu A&B パネル(鼻腔ぬぐい液用)電子添文(2025年2月 第1版)
4. Abbott:Panbio™ COVID-19/Flu A&B パネル(鼻腔ぬぐい液用)製品情報
5. PMDA:nodoca(ノドカ)電子添文(医療機器承認番号30400BZX00101000、2025年10月 第8版)
6. アイリス株式会社:nodoca公式FAQ/製品情報
7. 厚生労働省:D296-3 内視鏡用テレスコープを用いた咽頭画像等解析の算定要件(6歳以上、発症後48時間以内)
8. 厚生労働省:令和8年5月29日 保医発0529第2号(NODOCAに併せて実施するCOVID-19解析費用は305点に含む)
9. 厚生労働省:診療報酬点数表(SARS-CoV-2・インフルエンザウイルス抗原同時検出定性225点、免疫学的検査判断料144点、鼻腔・咽頭拭い液採取25点)

※本記事は2026年9月時点の承認内容・診療報酬に基づく一般的な医療情報です。実際の検査適応、費用、検査の組み合わせは、年齢・症状・発症時期・基礎疾患・当日の診療内容などにより異なります。

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