高血圧・脂質異常症
(健診の異常等)
生活習慣病について
生活習慣病は、食生活や運動などの日々の習慣によって発症することが多い慢性疾患の総称です。高血圧症や脂質異常症などが代表的な例です。「家事や仕事で毎日ストレスがあって、睡眠時間が短くなりがち」「食生活が乱れがちで、運動も足りないかもしれない」と感じている方は、注意しましょう。ただし、生活習慣病は生活習慣だけに起因するわけではなく、遺伝的要因やホルモンのバランスも関係しています。そのため、当院では初診時には患者様の生活習慣全体を把握し、適切な治療方針を立てることを心がけています。
当院への受診を薦められる方
- 家庭で測定した血圧が頻繁に高い(140/90mmHg以上)方
- 健康診断でコレステロール値がひっかかった方
- ALTなど肝機能の異常を指摘された方
- 健康診断で尿酸値の項目がひっかかった方
下記にあてはまる方はメタボかもしれません
内臓脂肪による各代謝異常をメタボリックシンドロームと呼び、動脈硬化が実年齢より加速し、脳梗塞や心筋梗塞などの命にかかわる病気に繋がります。
高血圧症
複数回の血圧測定で、最高血圧または最低血圧が一定基準以上の状態が認められた時、高血圧と診断します。高血圧の基準値は、病院内で最高血圧が140mmHg以上、最低血圧が90mmHg以上とされています。なお、正常値は最高血圧が120mmHg未満、そして最低血圧が80mmHg未満とされています。
基本的には高血圧の状態になっても自覚症状は出ませんので受診しない方もいますが、そのまま放置すれば血管や心臓に負担がかかり、心・血管系(心筋梗塞や心不全、脳梗塞など)の病気に繋がります。
血圧管理目標
診察室血圧(mmHg) | 家庭血圧(mmHg) | |
---|---|---|
75歳未満の成人 脳血管障害患者 (両側頸動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞なし) 冠動脈疾患患者 慢性腎病患者(蛋白尿陽性) 糖尿病患者 抗血栓薬服用中 | 130/80未満 | 125/75未満 |
75歳以上の高齢者 脳血管障害患者 (両側頸動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞あり、または未評価) 慢性患者(蛋白尿陰性) | 140/90未満 | 135/85未満 |
日本高血圧治療ガイドライン2019より引用
当院では家庭での血圧測定「シンクヘルス」を推奨しております
「日々の血圧や血糖値をどうやって記録しよう?」とお悩みの方には、「シンクヘルス」というアプリの利用がおすすめです。スマートフォンだけで、簡単に体重、血圧、血糖値、食事・運動の記録などを管理できるので、日々の健康状態をスムーズに把握可能です。また、お薬の管理やクリニック予約のリマインド機能も備えており、患者様とクリニックとの間で迅速に情報を共有できるのがメリットです。食事療法や運動療法は、日々の積み重ねと適切な管理が重要です。基本的な機能は無料なので、ぜひ「シンクヘルス」の利用をご検討ください。
高血圧症の治療
日常生活で血圧上昇に
つながる習慣に注意する
- 塩分の摂りすぎに注意する。
- 高カロリーの食べ物をさけ、肥満を防ぐ(特に腹部肥満型の方は注意)。
- 過度のアルコール摂取を避ける。
- 適度な有酸素運動を心がける。
- 禁煙をする。
薬物治療
医学的根拠が高く安全性の高い優先される薬剤から使用し、できるだけ薬が多くにならないように配合剤(1剤で2種類の薬効を含む薬)なども積極的に用いて治療します。また、「飲みっぱなし」にならないように家庭でチェックしていただいた血圧をみて適宜減薬・増薬します。また夏季・冬季など気候の変化をみて薬の調整をいたします。
高血圧治療補助アプリ「CureApp HT」(スマート降圧療法)
当院では、スマートフォンを使用したスマート降圧療法「CureApp HT」を実施しております。スマートフォンを利用して患者様に正しい生活習慣の定着を促し、それを医師がリアルタイムで確認し、通院時にアドバイスをさせていただきます。
医師と一緒に進めることができる新たな治療法なので、気になる方は一度ご相談ください。
※保険適応です。
脂質異常症(高脂血症)
脂質異常症(高脂血症)は、血中のコレステロールや中性脂肪が過多になる病気です。この状態のまま放置しておくと、血管の壁に脂質が蓄積して血流が阻害される動脈硬化を発症します。そして、高血圧と同様に心・血管系(心筋梗塞、脳梗塞など)や腎臓の障害に繋がります。早めに治療を行えば重大な病気を防げますが、高血圧と同じく自覚症状が無いため、症状が起きた時には既に病気が進んでいることがあります。日々の食生活や運動不足が原因で太ることから誘発される病気であることから、生活習慣病の1つと言われています。
脂質異常症の治療
コレステロールや飽和脂肪酸を多く含む加工食品や乳製品の摂りすぎを避けるように食習慣を見直し、併せて運動療法を行ないます。遺伝性の要因が強く疑われる方には、他の動脈硬化リスク(喫煙、家族歴、糖尿病、腎障害など)を加味して薬物療法を開始します。なお治療の目的は動脈硬化の進行を阻止することで、動脈硬化に関連するその他の原因治療も行います。リスクの高い方には定期的な動脈硬化の進行をチェックするため頸動脈エコーを実施します。薬物治療については、LDLコレステロール(悪玉)が高い方にはスタチンと呼ばれる薬剤を優先的に使用します。特に糖尿病を持っておられる方のLDL目標値は見直され従来よりも低い値を保つことが望ましいとされています。当院では当日の院内血液検査にて結果をみて薬の調整を行うことが可能です。
リスク区分別脂質管理目標値
治療方針の原則 | 管理区分 | 脂質管理目標値(mg/dL) | |||
---|---|---|---|---|---|
LDL-C | non-HDL-C | TG | HDL-C | ||
一次予防 まず生活習慣の改善を行った後、薬物療法の適用を考慮する |
低リスク | 160未満 | 190未満 | 150未満 | 450以下 |
中リスク | 140未満 | 170未満 | |||
高リスク | 120未満 | 150未満 | |||
二次予防 生活習慣の是正とともに薬物治療を考慮する |
冠動脈疾患の既往 | 100未満 (70未満) | 130未満 (100未満) |
(日本動脈硬化学会 編:動脈硬化疾患予防ガイドライン2017年版、日本動脈硬化学会、2017.p54より引用)
*家族性高コレステロール血症、急性冠症候群の時に考慮。糖尿病でも他の高リスク病態を合併する時はこれに準じます。
- 一次予防における管理目標達成の手段は非薬物療法が基本ですが、低リスクにおいてもLDL-Cが180mg/dL以上の場合は薬物治療を考慮するとともに、家族性高コレステロール血症の可能性も考えられます。
- まずLDL-Cの管理目標値を達成し、その後non-HDL-Cの達成を目指すことになります。
- これらの値はあくまでも到達努力目標値であり、一次予防(低・中リスク)においてはLDL-C低下率20~30%、二次予防においてはLDL-C低下率50%以上も目標値になりえます。
(日本動脈硬化学会(編):動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版改変)
頸動脈エコーの図
高尿酸血症・痛風
血液中の尿酸値が高くなることを高尿酸血症と呼びます。
痛風は関節の中に尿酸の結晶が蓄積されて関節炎になる病気で、高尿酸血症の方に起こります。
多くは違和感程度の予兆を伴い、突然の関節の赤み・腫れとともに激しい痛みがでます。
症状は当初数日から1週間ほどで無くなりますが、しばしば痛みは再発します。
次第に症状が続く時間も長くなり、痛みの頻度も短くなっていきます。放置すれば様々な部位の関節が痛み始め、悪化すれば腎臓疾患を引き起こします。30代~40代の中年男性に起きやすい病気です。
高尿酸血症の治療
肥満がある方は肥満解消により尿酸値はかなり下がります。プリン体を多く含む食事(肉類、卵、レバー、ビール)を摂りすぎないようにしましょう。薬物治療では、痛風関節炎による痛みを解消することと、その原因である高尿酸血症を改善させるため適した薬剤を用います。尿酸値を下げる薬剤には尿酸産生抑制薬と尿酸排泄促進薬があります。
また、従来から高尿酸血症は動脈硬化や腎障害を進行させるリスクの一つと懸念され、長期間に渡る使用が望ましいと考えられるケースもあり、主治医の指示通りに服用していくことが大事です。しかし無症状の(痛風を起こしたことがない)高尿酸血症を治療すべきかは、未だ議論の分かれる部分です。私の個人的な考えにはなりますが、糖尿病や高血圧、脂質異常症といった他の生活習慣病に比べ、症状のない高尿酸血症は優先される治療とは考えにくく、毎日飲む薬の数が多くなってしまうのは問題だと感じています。
このような方には
オンライン診療を
おすすめします
- 忙しくて定期的な通院が難しい
- 通院が続かない
- 自宅で診療を受けたい
- 事情があり通院が出来ない
当院の生活習慣病のための通院では、治療が安定し投薬変更を頻回に行う必要がないと判断される患者様へ「薬を取りに行くため」に毎月必ず受診していただくことを強制しておりません。投薬日数については是非ご相談ください。またオンライン診療による投薬継続も推奨しております。是非ご活用ください。