お引越し先で糖尿病の主治医を探すときのチェックポイント
尼崎市立花駅前の「にしな内科」で糖尿病内科や甲状腺疾患を担当している院長の仁科です。
お引っ越しは、生活の土台が大きく変わる一大イベントです。
住所、職場、家族の動線が変わる中で、糖尿病の通院先も見直しが必要になります。
糖尿病は「薬をもらうだけ」ではなく、日々の食事・運動・睡眠・ストレス、そして検査データの積み重ねでコントロールしていく病気です。
だからこそ、新しい土地で主治医や医療機関を選ぶときは、単に「糖尿病専門医がいる」だけで決めず、自分の生活に合う“通院を続けられる環境”かどうかを丁寧にチェックするのが大切でしょう。
ここでは、引っ越し後に後悔しないためのチェックポイントをまとめます。良ければ参考にして下さい。

1)「通い続けられるか」が最重要:アクセスと通院しやすさ
まず考えたいのは、通院の継続性です。血糖コントロールは短距離走ではなくマラソンや山登りのようなものです。良い治療方針でも、通院が負担だと継続が難しくなります。
- 自宅や職場からの距離(徒歩・自転車・車・公共交通機関)
- 駅からの近さ、バス停からの動線、雨の日の通いやすさ
- 駐車場・提携駐車場の有無
- 診療時間(仕事前後に通えるか、土曜診療や夕方診、夜診枠があるか)
- 予約の取りやすさ、待ち時間の目安
このあたりは、ホームページや口コミ、実際に一度受診してみることで体感的にわかります。「良い病院だけど遠い」「予約が取れない・変更できない」は、結果的に治療の中断につながることもあるので注意です。
2)専門医資格“だけ”では足りない:チーム医療があるか
糖尿病診療は、医師1人で完結するよりも、看護師・管理栄養士などを含めたチームで支えるほど成果が出やすい分野です。特に食事は、知識だけでなく「生活に落とし込む工夫」が必要になります。
そこで重要なのが、管理栄養士による栄養相談を積極的に行っているかです。
- 管理栄養士が在籍しているか(外部の非常勤なのか、院内体制が整っているか)
- 栄養相談が“希望者のみ”ではなく、必要な人には提案される仕組みがあるか
- 1回だけでなく、定期的にフォローできるか(継続面談・目標設定など)
- 食事記録やアプリ、写真を使った実践的な助言があるか
同じ「糖尿病」でも、生活背景(仕事、家族構成、外食頻度、料理習慣)で最適解は違います。栄養相談がしっかりしている医療機関は、薬の調整だけでなく“根っこ”の改善を一緒にやってくれる可能性が高くなります。
3)クリニックや主治医の「雰囲気」は、侮れない
糖尿病診療は、数値の話だけでなく、生活や気持ちの話も出てきます。「怒られそう」「否定されそう」と感じると、受診間隔が空いたり、自己判断で薬を止めてしまったりしがちです。
チェックしたいのは、例えばこんな点です。
- 説明がわかりやすいか(専門用語ばかりでないか)
- こちらの生活背景を聞いてくれるか(仕事、食事、運動の現実)
- 叱責や脅しではなく、良いコミュニケーションが出来そうか
- 医師以外のスタッフの対応が丁寧で、質問しやすい雰囲気か
相性は「正解が1つ」ではありません。自分が安心して続けられる場所かどうかを、遠慮なく重視しましょう。
4)検査・フォロー体制:合併症まで見通しているか
糖尿病は血糖値だけでなく、腎臓、目、神経、動脈硬化など合併症の管理がとても重要です。良い主治医は、血糖を下げるだけでなく、将来のリスクを先回りして減らす視点を持っています。
- HbA1cだけでなく、腎機能・尿アルブミン・脂質・血圧も総合的に診ているか
- 眼科(網膜症)、歯科(歯周病)、循環器などの連携先があるか
- 健診結果の読み替えや、生活習慣病全体(脂質/高血圧/肥満)の統合管理ができるか
- 糖尿病以外の病気も一緒に診ているか
「何を、どの頻度でチェックするか」をきちんと説明してくれる医療機関は、長期的な安心につながります。また必要以上に検査!検査!となる病院は良くないでしょう。きちんと検査の必要性や目的などを聞ける病院や先生を見つけましょう。
5)インスリン治療が必要な方はもう少し深く確認を
ここからは、専門的なインスリン治療が必要な方(1型糖尿病、強化インスリン療法中、低血糖リスクが高い、血糖変動が大きい方など)に特に大事なポイントです。
① 持続グルコースモニタリング(CGM)を実施しているか
近年、Dexcom G7やFreeStyleリブレなどのセンサーを用いた持続血糖モニタリングは、治療の質を大きく変えています。単に「使える」だけでなく、外来で適切に活用できるかが重要です。
- G7やリブレなどのCGMを導入・フォローしているか
- データ(Time in Rangeなど)を診療で活用しているか
- 患者さんが見て困っているポイントを一緒に整理してくれるか
- センサーの選択や運用(装着、アプリ、アラート設定)を外来でサポートできるか
② インスリンポンプを扱っているか/外来導入ができるか
インスリンポンプ(CSII)や、状況によってはAID(自動調整を含むシステム)など、より専門的な治療が必要になる方もいます。
- インスリンポンプを扱っているか(機種や対応範囲)
- 外来で導入まで完結できるのか、入院導入が必要なのか
- 導入後のトラブル対応(高血糖・ケトーシス疑い、部位トラブル等)をどうしているか
③ どの病院と連携しているか(紹介・緊急時の受け皿)
ポンプや高度なインスリン調整が必要な場合、クリニック単独で完結しない局面もあります。だからこそ「連携先」が大事です。
- 連携している総合病院/専門病院が明確か
- 教育入院、糖尿病入院、合併症精査の紹介ルートが整っているか
- 夜間・休日など、緊急時の相談方針が説明されるか
“できること/できないこと”を正直に示し、必要なときに適切な医療につなげてくれる体制が、安心につながります。
6)情報収集のコツ:受診前にできること
引っ越し直後は忙しいので、効率よく選びたいところ。受診前にできるチェックもあります。
- クリニックのホームページ:診療内容、栄養相談、CGM/ポンプ対応、連携病院の記載
- 口コミ:待ち時間や説明の丁寧さなど“運用面”の参考に(ただし偏りはあるので鵜呑みにしない)
- 電話で聞く:栄養相談の頻度、センサー対応、初診の持ち物、紹介状の要否など
最終的には、1回受診してみて「ここなら続けられる」と感じるかが大切です。
さいごに:主治医選びは“相性×体制×継続性”
糖尿病の主治医探しは、引っ越しの中でも後回しにされがちですが、生活が落ち着くまでの時期ほど医療の支えが重要になります。
チェックすべきは、専門医資格の有無だけではありません。管理栄養士と連携して栄養相談をしっかり行えること、通いやすいこと、安心して相談できる雰囲気があること。
さらにインスリン治療が必要な方は、G7やリブレなどCGMの運用、インスリンポンプの対応、導入体制、連携病院まで含めて確認すると、治療の継続がぐっとスムーズになります。
新しい土地でも、あなたの生活に寄り添いながら、長く伴走してくれる主治医に出会えますように。
