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低身長症に対する成長ホルモン(GH)治療の実力はいかに!?

尼崎市立花駅前の「にしな内科」で糖尿病内科や甲状腺疾患を担当している院長の仁科です。

本ブログでは特定の病気ではない低身長、いわゆる原因が定かではない「特発性低身長」:ISS(Idiooathic Short Stature)のお子様に対して成長ホルモン治療を行った場合の医学的なエビデンスについて言及していきたいと思います。

「成長ホルモン(GH)治療って、結局どれくらい伸びるの?」

ISS(特発性低身長)は検査をしても病気(甲状腺、染色体異常、明らかなGH分泌不全など)が見つからないのに、身長が低い状態を指します。

GH治療は、毎日(毎週の)の注射を数年間続ける治療で、最終身長(大人の身長)を少しでも伸ばすことを目指します。ISSのお子様に対してGH治療を行ったいくつか有名な研究結果を整理して解説します。研究結果は、「どのような対象者」に「どのような治療」を行ったのか、こちらを整理して吟味しています。

研究①:

Effect of growth hormone treatment on adult height in peripubertal children with idiopathic short stature: a randomized, double-blind, placebo-controlled trial

「GH治療は「最終身長」を上げるのか(プラセボ比較試験)」

Leschek ら(2004年, J Clin Endocrinol Metab)

対象者

  • 9〜16歳、男児が多め
  • 身長(または予測最終身長)が −2.5SD以下(かなり低い群)
  • 合計68人が参加

行った治療の内容

  • GH群:GHを0.074㎎/㎏を週3回(0.222mg/kg/週)皮下注射
  • 比較対象としてプラセボ(見た目が同じ有効成分を持たない偽薬
  • どちらも「ほぼ大人の身長」になるまで継続(平均治療期間 約4.4年)

結果

  • 大人の身長は、GH群の方がプラセボ群より 平均 約3.7cm高かった(統計学的に有意差あり)

本結果は “GHを続けると、最終身長が数cm増える可能性が高い” を比較的きれいに示した研究結果です。

研究②:

Growth hormone (GH) treatment to final height in children with idiopathic short stature: evidence for a dose effect

「GH治療は用量で効果が変わりうるのか(用量比較試験)」

Wit ら(2005年, J Pediatr)

対象者

  • ISSの小児(治療前の平均身長は −3.2SD と低め)

行った治療の内容

  • GHを3つの投与量グループに分けて比較(無治療ではなく“用量違い”の比較)
    • 0.24 mg/kg/週
    • 0.24→(途中から)0.37 mg/kg/週
    • 0.37 mg/kg/週
  • 最終身長まで追跡(平均治療期間 約6.5年)

結果

  • 高用量(0.37 mg/kg/週)の方が、低用量より 伸びるスピードが年0.8〜0.9cmほど高い
  • 最終身長の「上乗せ」(治療前の予測最終身長との差)は
    • 高用量:平均 7.2cm
    • 低用量:平均 5.4cm
  • 高用量と低用量の差としては 約3.6cm の差が出た(統計学的に有意)

“GHは使用量が多いほど効果が出やすい可能性”を示唆します(もちろん安全性とバランスが大事)。

研究③:

High-dose GH treatment limited to the prepubertal period in young children with idiopathic short stature does not increase adult height

「幼少期に用いた研究、小さい時に短期間だけだと最終身長は増えないことも・・・」

van Gool ら(2010年, Eur J Endocrinol)

対象者

  • 4〜10歳の思春期前の子ども40人
  • 身長が −2SDより低いが、出生時身長は極端に低くない(ISSとして選ばれた条件)

行った治療の内容

  • GH群:高用量GHを「思春期が始まるまで」実施(平均 約2.3年)
  • 対照群:無治療

結果

  • 治療中はたしかに背が伸びて、治療終了時点ではGH群が高かった
  • ただし同時に、骨の成熟(骨年齢)が早く進みやすく、思春期開始も早まる傾向
  • その後、治療をやめて数年〜十数年たって最終身長を比べると、
    • GH群:−2.1SD
    • 対照群:−1.9SDで 最終身長はほぼ同じだった

この研究が教えるのは、“GH治療中に伸びても、治療期間が短いと最終身長を伸ばすという結果には至らない可能性がある”という点です。

まとめ

  1. ISSに対するGH治療は、研究では最終身長が平均で3~6cm程度増えることが示されています。特に、思春期の時期も含めて適切に、適切な量で継続した場合に最終身長という結果に繋がりやすいと考えられます。
  2. 一方で、GH治療は万能ではなく個人差が大きい治療です。また、骨の成熟が早まるなど、投与方法によっては治療中だけ伸びて最終身長は同じという結果もあり得ます。

当院では、

  • まず本当にISSか、隠れた病気がないかを確認し、
  • 骨レントゲン検査による予測最終身長・骨年齢・思春期の見通し・本人の困りごとを整理したうえで、
  • 期待できる上乗せ効果、注射を長く続ける本人の負担、費用などを天秤にかけながら、患者様およびご家族様と治療方針を一緒に決めるのが大切だと考えています。

治療をお考えの方はぜひとも一度ご相談下さい。

にしな内科 院長 

仁科周平

にしな内科

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