臨床内分泌代謝Updateという学会に参加してきました(非常勤医師 今田先生)
はじめまして、JR立花駅直結のにしな内科で非常勤医師をしております今田 侑(いまだ たすく)です。
先日、長野県松本市で開催された第35回臨床内分泌代謝Updateでにしな内科を代表してポスター発表を行ってきました。
私が発表した内容は、にしな内科で甲状腺に対して穿刺吸引細胞診という手技を行なった患者様が、一時的に甲状腺が腫大してしまうという、非常に稀な合併症についてでした。
この穿刺吸引細胞診後の一過性甲状腺腫大は発症頻度が極めて低く、海外の論文での報告も限られており、この合併症が起こる原因なども全くわかっておりませんでした。そのため、我々が経験した症例の経過や考察をまとめて発表することが、他の患者様で同様の症状が起こった際の参考になるのではないかと考えました。
今回のコラムではこの甲状腺の穿刺吸引細胞診についてまとめてみました。

穿刺吸引細胞診とは?
甲状腺のエコー検査を実施していると、甲状腺内に結節(しこり)や嚢胞が見つかることが珍しくはありません。多くは良性ですが、エコー検査だけでは良性なのか悪性なのかの判断が難しい場合があります。
そこで必要になるのが穿刺吸引細胞診です。
穿刺吸引細胞診とは、甲状腺にできた“結節(しこり)”が良性なのか悪性(がんの可能性があるか)なのかを調べるための検査です。
細胞そのものを直接調べられるので、甲状腺結節の診断においてもっとも確実な方法とされています。
この検査を行うことで
- 不必要な手術を避けられる。
- がんの可能性があれば早期に気づける。
- 今後の治療方針を正確に決められる。
といった大きなメリットがあります。
検査の流れについて
穿刺吸引細胞診では採血より少し細い針を使い、数分で終わる負担の少ない検査です。
当院では、甲状腺エコーで悪性の可能性がある結節を認めた場合、後日改めて穿刺吸引細胞診の検査を実施し、当院だけで検査が完結できます。
検査の流れ
- 甲状腺のエコー検査でしこりの位置を確認する。
- 細い針を刺して細胞を少量だけ吸い取る。
- 数分圧迫して終了。
- 10−15分院内で様子をみて、問題がなければ帰宅可能。
特別な準備などは不要で、検査当日も普段通りの生活ができます。
安全性について
穿刺吸引細胞診は世界中で広く行われている安全性の高い検査で合併症はごく軽度なものがほとんどです。
起こりやすい合併症として
- 軽い痛み
- わずかな腫れ
- 小さな内出血
があげられますが、これらは自然に改善するので治療を要することはまずありません。
非常に稀ではありますが、今回我々が経験したような一時的に甲状腺が腫れてしまうケースもあります。発症頻度は0.1%程度だそうです。
多くは1日程度の短期間で自然に収まり、重症化することはほとんどありません。
最後に
穿刺吸引細胞診は甲状腺の結節を正しく評価し、必要な治療を選択するためにとても大切な検査です。
ただし、甲状腺に結節があるからといってすべての患者様で穿刺吸引細胞診が必要になるわけではありません。形・大きさ・血流の様子など、エコーで「悪性を疑う」もしくは「悪性を完全には否定できない」特徴がみられた場合にのみこの検査を行います。
不安なことがあれば、いつでも気軽に相談してください。
今回の学会では自分の発表だけでなく、他の先生方のポスター発表や講演を聞き、最新の疾患の知識や診断のアップデートや新しい治療戦略など日々の診療に直結する内容を多数学ぶことができました。
臨床の現場で感じていた疑問に対するヒントも得られて非常に充実した時間となりました。


せっかく松本市まで行ったので、学会後には美味しい料理や景色にも癒され、勉強しながらもしっかりとリフレッシュすることができました。


