TREATMENT OF OBESITY肥満治療

当院の肥満治療では、生活習慣の指導(食事のアドバイス、運動のアドバイス)に加えて薬物治療を併用します。2型糖尿病の方は、保険診療で使用できるGLP-1受容体作動薬やSGLT2阻害薬といった減量効果が特に期待される治療薬を提案させていただきます。2型糖尿病ではない方でこれらをご希望される方は自費治療になります。GLP-1受容体作動薬による減量効果のピークは約6ヶ月であることが知られており、その期間を目安に治療を継続いただくことをお勧めします。

GLP-1・GIP(インクレチン)について

インクレチン薬は国内において肥満症に対する治験が完了しており、その有効性・安全性が確認されておりますが「2型糖尿病」の治療薬以外の用途は現時点で未承認です。国内では効能・効果への承認が下りてない旨ご留意の上、ご使用いただきますようお願いいたします。また国内の承認医薬品のBMI 35以上に適応があるサノレックス(マジンドール)は、副作用、効能効果の観点から当院では採用しておりません。代表的なリスク・副作用としては、食後のむかつきや便秘、下痢などの消化器症状です。

SGLT2阻害薬について

尿糖の排泄を増やし、摂取した余分な糖の吸収が抑えられ減量効果が期待できる糖尿病薬です。糖尿病患者ではSGLT2が過剰に作用していることが知られていますが、健常者が使用した場合には糖尿病患者で得られる程の強い効果は得られないため、非糖尿病患者への投与は積極的には推奨していません。女性では特に(男性では女性よりも比較的少ないとされていますが)尿路感染症、性器感染症の副作用が問題になることがあります。

治療の流れ

  • 初来院
    WEB問診、検査、治療の概要について説明、食事管理アプリの導入

    *初診料、検査費用等が必要です。保険診療費用(3割負担の場合)は約2,700円になります。

  • 2回目の来院
    検査結果説明、食事栄養・運動指導、治療薬の選定を行います。
  • 3回目以降の来院
    効果の判定と薬の用量変更を検討します。
  • 適宜血液検査で副作用チェック、継続的な栄養指導を実施します。
  • 保険での適応がない場合は自費治療になります。費用負担については使用する薬剤の用量に応じて、内服薬(月9000~30000円)、注射薬(月13000~55000円)の薬代がかかりますので検査結果を踏まえて来院後にお伝え致します。

Q&A

Q糖尿病ではない人が使用しても問題ありませんか?
A

GLP-1・GIPは血糖値を維持するために腸から分泌されるホルモンで、食事をするとすい臓に働きかけて、インスリンを出すように促します。主に血糖値が高い時に作用し、血糖値を下げる働きをするため、血糖値が下がり過ぎることはありません。また胃腸や脳に働きかけて満腹感を得て、食欲を抑制する働きもあるため、我慢することなく食事量を減らすことが可能となります。
そのため糖尿病ではない方でも安心して使用することができます。

Qどれくらいの頻度で副作用が出ますか?
A

副作用の中で頻度が高いのは胃腸症状です。胃部不快感・嘔気・嘔吐・便秘・下痢などが多いです。使用開始時と増量時に副作用が出やすいと言われています。個人差がありますので、必ずしもすべての症状が出る訳ではありません。
過去のデータでは約10人に1人が胃腸症状により、薬を中断しています。

Qどれくらいで効果がでますか?
A

食欲を抑えられた状態に体が適応し、少ない食事量に慣れる期間の目安がおよそ2週間となります。1か月平均2~3kg以上痩せる方もいますが、減量の目安は1か月で1~2kg程度の方が体への負担もなく、長く続けられます。薬だけに頼るのではなく、食事内容の見直しや運動も効果を出す上で必要となりますので、意識しながら過ごして下さい。減量の程度も個人差がありますので、すべての方に当てはまる訳ではありません。

Qいつまで継続したらいいでしょうか?
A

6カ月~1年ほど続けることを推奨します。その間の持続的な効果が期待できるからです。2週間経たずにやめてしまうと、食欲や食事量が戻ってリバウンドしやすくなります。1か月で効果を感じる方も多く見られますが、短期間で痩せられたとしてもリバウンドに繋がる可能性もあります。GLP-1ダイエットを続ける期間は人それぞれですが、食習慣を定着させるためには最低でも2~3カ月は続けることが必要です。

Q注射の針は痛いですか?
A

針に対する痛みや恐怖感は個人差がありますが、ほとんど人が針の問題で継続できなくなることはありません。採血の針よりも極細の針を使用しますので痛みはほとんどありません。