COLUMN
医療コラム
便秘が続く:危険な便秘と、薬の使い分け(浸透圧性・刺激性・新規薬)
尼崎市のにしな内科です。
便秘はとても身近な症状ですが、「ただの便秘」と思って放置してよいケースばかりではありません。中には、大腸がんなどの器質的疾患が隠れていたり、便秘薬の使い方でかえって悪化したりすることもあります。今回は、受診が必要な“危険な便秘”の見分け方と、便秘薬の使い分けを、できるだけ実用的にまとめます。

まず確認:危険な便秘
次のいずれかがあれば、自己判断で便秘薬を増やす前に、早めに受診をおすすめします。
- 血便(赤い血、黒い便)
- 体重減少、食欲低下
- 貧血を指摘された
- 発熱、強い腹痛、嘔吐
- 便が急に細くなった/便秘と下痢を繰り返す
- 50歳以降に“初めて”便秘が目立ってきた
- 大腸がんの家族歴がある
- 数日出ない+お腹がパンパンでガスも出ない(腸閉塞の可能性)
こうした所見がある場合は、腹部診察、採血、画像検査、必要に応じて大腸カメラで原因を確認します。
便秘にはタイプがある(ここが薬選びのポイント)
便秘は大きく分けると、次の要素が絡みます。
1)便が硬い(便が出にくい):水分不足、食物繊維不足、加齢、薬剤など
2)腸の動きが弱い(蠕動低下):高齢、活動量低下、糖尿病、甲状腺機能低下、薬剤など
3)出口でつまる(排便障害):いきみ方、骨盤底機能、痔の痛みなど
4)過敏性腸症候群(IBS-C):腹痛・膨満とセットで便秘が波を打つ
「硬いのが原因なのに刺激性下剤を増やす」「出口の問題なのに薬だけで押す」などはうまくいかないことが多いので、タイプを見極めるのが近道です。
便秘薬の使い分け
① 浸透圧性下剤(酸化マグネシウムやモビコールなど):まず候補になりやすい“便を柔らかくする薬”
酸化マグネシウムやモビコールは腸の中に水分を集めて便を柔らかくし、出しやすくします。
向いている人:便が硬い、コロコロ便、いきむタイプ
注意点:酸化マグネシウムは腎機能が低い方は高マグネシウム血症のリスクがあるため、採血で腎機能を確認しながら使います。下痢しやすい人は量を調整します。
② 刺激性下剤(センノシド、ピコスルファートなど):効くが“使い方が重要”
腸を刺激して動かす薬で、即効性が期待できる一方、連用すると効きにくくなったり(耐性)、量が増えやすいことがあります。
使いどころ:頓用(どうしても出ない日)、前処置、短期的にリズムを作りたい時
注意点:毎日漫然と増量するのは避け、ベースは便を整える薬で組み立てるのが基本です。
③ 新しい便秘薬(“便を出しやすい環境”を整える薬)
近年は、腸の水分分泌を促す薬や腸の動きを調整する薬など、タイプに合わせて選べる選択肢が増えています。アミティーザやグーフィス、リンゼスなどがこれにあたります。
向いている人:酸化Mgだけでは不十分、刺激性下剤に頼りたくない、腹部膨満が強い、過敏性腸症候群が疑われる
薬の選択は症状の質(腹痛の有無、膨満の強さ、便形状、頻度)や併存疾患、服薬状況で調整します。
④ 浣腸・坐剤:出口が固い/直腸に便がたまっている時の選択肢
直腸に硬い便が詰まっている場合、内服だけでは動きにくく、浣腸や坐剤が有効なことがあります。
生活面のコツ(薬の前に効くことも多い)
- 水分:朝のコップ1杯はシンプルに有効
- 食物繊維:普段は意義あり(ただし膨満が強い人は増やし方に注意)
- 運動:歩く量が便秘に直結する方も多い
- 排便習慣:便意を我慢しない/トイレに座る時間を作る
- 便秘を悪化させる薬(鉄剤、抗コリン薬、オピオイド等)があれば見直しを検討
当院での評価・検査(便秘が続く場合)
- 問診(期間、便形状、腹痛、血便、体重変化、薬、生活習慣)
- 診察(腹部、必要に応じ肛門)
- 採血(貧血、炎症、甲状腺、腎機能など必要に応じて)
- 必要に応じて腹部エコー/CTや大腸カメラ
「危険サインがある」「50歳以降に目立つ」「薬を使っても改善しない」場合は、原因を確認することが重要です。
よくある質問(FAQ)
Q1:市販の刺激性下剤を毎日使っています。やめた方がいい?
A:いきなり中止が難しいこともあります。体質と状況を見て、ベース薬(便を整える薬)へ移しながら調整します。
Q2:酸化Mgはずっと飲んでいい?
A:腎機能などを確認しながら適切量で使えば有用です。下痢や腹痛があれば調整します。
Q3:便秘でも大腸カメラは必要?
A:危険サインがある場合、50歳以降の新規便秘、薬が効かない場合などは、原因確認のため検討します。
まとめ
便秘はよくある症状ですが、危険サインがある便秘は見逃さないことが大切です。薬は「酸化Mgで便を柔らかく」「刺激性下剤は使いどころを限定」「必要に応じて新しい選択肢を組み合わせる」という考え方が基本になります。自己判断で増量を続ける前に、原因整理と最適な治療を一緒に考えましょう。
にしな内科(尼崎市立花駅前)
消化器内科・内視鏡診療
副院長 鍋嶋 克敏
にしな内科
JR神戸線立花駅を下車、駅直結の徒歩1分、雨にぬれずに来院できます。アクセス良好につき、尼崎市、神戸市、西宮市、芦屋市、伊丹市、大阪市など各方面からも多くの患者様にご来院頂いております。
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