COLUMN
医療コラム
ピロリ菌:除菌したら終わり?胃がんリスクと胃カメラフォローの考え方
尼崎市のにしな内科です。
「ピロリ菌を除菌したので、もう胃がんの心配はないですよね?」
——外来でよくいただく質問です。結論から言うと、除菌は胃がんリスクを下げる重要な治療ですが、「ゼロになる」とまでは言い切れません。ピロリ菌感染が長く続くと、胃の粘膜に慢性炎症が起こり、萎縮(いしゅく)や腸上皮化生(ちょうじょうひかせい)といった変化が進むことがあります。これらは除菌後も残る場合があり、将来のリスク評価とフォローの考え方に関わってきます。
今回は、除菌の意義と、除菌後の胃カメラフォローをどう考えるかを整理します。

除菌の意義:何が良くなる?
ピロリ菌は胃粘膜に感染して慢性胃炎を引き起こし、長期的に胃粘膜の環境を悪化させます。除菌によって期待できる主なメリットは以下です。
- 胃がんリスクの低下(特に感染が長く続く前に除菌するほど有利)
- 胃・十二指腸潰瘍の再発予防
- 慢性胃炎の改善(胃もたれなどの症状が軽くなる方も)
つまり除菌は「やる価値が大きい治療」です。その上で、除菌後のフォローをどうするかが次のテーマになります。
除菌後も“ゼロ”ではない理由:ポイントは「萎縮の程度」
胃がんリスクを左右する大きな鍵は、胃粘膜の“地盤”です。
① 萎縮(胃粘膜萎縮)が残ることがある
ピロリ菌による炎症が長いと、胃粘膜は薄くなり(萎縮)、本来の働きが低下します。除菌で炎症は改善しますが、萎縮そのものはすぐに元通りにならないことがあります。萎縮が強いほど、除菌後も一定のリスクが残ると考えられます。
② 腸上皮化生があるとリスク評価が変わる
腸上皮化生は、胃粘膜が腸の粘膜のように変化した状態です。これも感染期間が長いほど出現しやすく、除菌後も残ることがあります。だからこそ、除菌後も「粘膜の状態を評価して、必要なフォローをする」ことが現実的です。
胃カメラで何を見る?—除菌後フォローの中心
除菌後フォローの主役は胃カメラです。胃カメラで
- 萎縮の程度
- 炎症の残り方
- ポリープやびらん、潰瘍の有無
- 腫瘍性病変の有無
を確認し、必要に応じて組織検査(生検)で粘膜の状態をより正確に評価します。
「症状がないから検査はいらない」と考えたくなりますが、胃がんや前がん変化は無症状で進むことがあります。除菌後こそ、 “評価して、合理的な間隔で見る”ことが大切です。
フォロー間隔の考え方:基本は「年1回」の胃カメラを推奨
除菌後の胃カメラの間隔は、萎縮の程度、腸上皮化生の有無、年齢、家族歴、喫煙などの要素でリスクが変わります。そのうえで当院では、除菌後も胃粘膜に変化が残り得ることを踏まえ、基本的には「1年に1回」の胃カメラフォローをおすすめしています。
特に、萎縮が強い方、腸上皮化生を認める方、胃がんの家族歴がある方などは、定期的な内視鏡で“早期に拾う”ことが安心につながります。なお、胃カメラ所見や全身状態により、フォロー間隔を調整することもあります。
よくある質問(FAQ)
Q1:除菌できていれば、もう胃がん検査は不要ですか?
A:除菌はリスクを下げますが、萎縮などの粘膜変化が残る場合があります。胃カメラでリスク評価し、必要な間隔でフォローするのが安心です。
Q2:除菌後に胃もたれや痛みが続きます。除菌失敗ですか?
A:必ずしもそうではありません。逆流性食道炎や機能性ディスペプシアなど別の原因もあります。症状が続く場合は評価をおすすめします。
Q3:除菌後、いつ胃カメラを受ければいい?
A:当院では、基本的に年1回の胃カメラフォローをおすすめしています。胃粘膜の状態(萎縮の程度など)も踏まえて、必要に応じて間隔を調整します。
Q4:家族に胃がんがいます。除菌したら安心ですか?
A:家族歴はリスク因子の一つです。除菌は有効ですが、胃カメラで評価し、適切なフォローをおすすめします。
まとめ
ピロリ菌の除菌は、胃がんリスクを下げる大切な治療です。ただし、感染期間が長かった方ほど萎縮などの粘膜変化が残ることがあり、除菌後もリスクが“ゼロ”になるとは限りません。だからこそ、胃カメラで粘膜の状態を評価し、リスクに合わせた間隔でフォローすることが安心につながります。除菌歴がある方、フォローが途切れている方は一度ご相談ください。
にしな内科(尼崎市立花駅前)
消化器内科・内視鏡診療
副院長 鍋嶋 克敏
にしな内科
JR神戸線立花駅を下車、駅直結の徒歩1分、雨にぬれずに来院できます。アクセス良好につき、尼崎市、神戸市、西宮市、芦屋市、伊丹市、大阪市など各方面からも多くの患者様にご来院頂いております。
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