COLUMN
医療コラム
貧血と消化器疾患の深い関係——胃・小腸・大腸で起こり得る原因とは
尼崎市立花駅前のにしな内科で、消化器内科・内視鏡診療(胃カメラ・大腸カメラ)を担当している副院長の鍋嶋克敏です。
「健診で貧血を指摘された」
「鉄剤を飲んでも戻ってしまう」
「めまいや疲れが続いてつらい」
こうした相談は少なくありません。
鉄欠乏性貧血と聞くと、食事不足や月経を思い浮かべる方が多いのですが、
月経以外の原因で鉄欠乏になる場合、最も多いのが“消化管からの出血”です。
そしてその“出血源”は、胃・小腸・大腸のどこにでも存在し得ます。
今回は、貧血と消化器疾患の関係を、部位別に分かりやすく解説します。

鉄欠乏性貧血とは?まず考えるべきは「鉄がどこから失われているか」
鉄はヘモグロビンの材料であり、
- 失われる鉄 > 補給される鉄
となったときに貧血が進みます。
特に以下の方は、消化管からの慢性出血 の可能性があります。
- 月経が軽いのに貧血が強い
- 鉄剤で改善してもすぐ再発
- 男性・閉経後の女性なのに貧血
- 便が黒い/体重が減ってきた
まずは「どこで鉄が失われているか」を丁寧に調べることが重要です。
胃が原因となる貧血
① 萎縮性胃炎(ピロリ菌関連)
鉄の吸収が低下し、粘膜の脆弱化で微小出血が起こります。
② 胃・十二指腸潰瘍
目に見える出血がなくても、“少量の出血が続く”ことで貧血になります。
③ 自己免疫性胃炎(A型胃炎)
鉄欠乏だけでなく、ビタミンB12欠乏も伴いやすい病気です。
小腸が原因となる貧血
胃カメラ・大腸カメラの両方が正常なのに貧血が続く場合、小腸を疑います。
① 小腸の微小出血(血管拡張・潰瘍)
少量出血が長期に続くタイプで、症状はほとんど出ません。
② NSAIDs(鎮痛薬)による小腸潰瘍
ロキソニンなどが原因となることがあります。
③ クローン病
小腸に炎症が起こりやすく、貧血が続く原因になります。
④ 小腸腫瘍
頻度は高くありませんが、原因不明の貧血の背景に潜むことがあります。
大腸が原因となる貧血
① 大腸ポリープ
大きいポリープは少量出血を続けることがあります。
② 大腸がん
特に右側(盲腸・上行結腸)のがんは便に血が混じらず、
最初の症状が“貧血だけ” ということも珍しくありません。
③ 憩室出血・虚血性腸炎
慢性的な炎症で出血を繰り返し、貧血につながることがあります。
少量でも長期間の出血は大きな貧血になる
「血が混じった覚えはない」という方でも、
以下のようなケースでは貧血が進行します。
- 便に混じらない程度の出血が毎日続く
- 粘膜が弱ってじわじわ出血する
- 鉄の吸収が落ちている
見た目にはわからない「静かな出血」が、貧血の原因になるのです。
胃カメラ・大腸カメラは、当院では“同日にまとめて受けることも可能”です
貧血の原因は、胃・小腸・大腸と多岐にわたるため、
必要に応じて 胃カメラと大腸カメラをどちらも確認する ことがあります。
当院では、
- 胃:萎縮・潰瘍・出血のチェック
- 小腸:CTで状態を確認(必要時は専門施設へ紹介)
- 大腸:ポリープ・腫瘍・炎症の評価
と、貧血の原因を体系立てて調べる体制を整えています。
また、患者さんの負担を少なくするため、
希望される場合や必要に応じて、胃カメラと大腸カメラを同日でまとめて行うことが可能です。
鎮静剤を使用することで
“眠っている間に両方の検査を終える”
こともでき、忙しい方でも受けていただきやすい方法です。
健診で貧血を指摘されたら——受診の目安
次のようなときは消化器精査をおすすめします。
- 鉄剤を飲んでも改善しない
- 月経が軽い・または閉経後
- 便が黒い、腹痛が続く
- 食欲低下、体重減少がある
- NSAIDsを常用している
“原因不明”で放置せず、消化管全体を見渡すことが大切です。
にしな内科で行える検査
- 血液検査(鉄・フェリチン・炎症など)
- 胃カメラ・大腸カメラ(希望に応じて同日実施可)
- CTによる小腸・腹部臓器の評価
- 小腸カプセル内視鏡やMR検査が必要な場合は病院へ紹介
貧血の原因を一つずつ丁寧に探し、適切な治療につなげます。
まとめ
貧血は「鉄が足りない」だけの病気ではなく、
“鉄が失われている理由を探る”ことが何より大切 です。
原因は胃・小腸・大腸のいずれにも潜む可能性があり、
症状が軽くても長引く場合は一度しっかり評価してみてください。
貧血でお困りの方、原因がわからず不安を抱えている方は、どうぞお気軽にご相談ください。
にしな内科
消化器内科・内視鏡診療
副院長 鍋嶋 克敏
にしな内科
JR神戸線立花駅を下車、駅直結の徒歩1分、雨にぬれずに来院できます。アクセス良好につき、神戸市、西宮市、芦屋市、伊丹市、大阪市など各方面からも多くの患者様にご来院頂いております。
副院長:鍋嶋 克敏 医師紹介