COLUMN
医療コラム
左下腹部が痛い・発熱・下痢——大腸憩室炎の可能性と、抗菌薬が必要なケース/不要なケース
尼崎市のにしな内科です。
「左下腹部がズキズキ痛い」「押すと痛い」「熱が出てきた」「下痢っぽい」——このような症状でよくある原因の一つが大腸憩室炎です。
憩室(けいしつ)は年齢とともに増えやすく、普段は無症状でも、炎症を起こすと腹痛や発熱の原因になります。
ここでは、憩室炎の基本と、外来でみるべきか・救急がよいか、そして「抗菌薬が必要なケース/不要なケース」の考え方を整理します。

大腸憩室炎とは?
大腸の壁が袋状に外へ飛び出したものが憩室です。
憩室そのものは病気ではありませんが、袋の入り口が詰まったり、細菌が増えたりすると炎症が起こり、憩室炎になります。
よく起こる場所は大腸の左右で差がありますが、症状としては
- 左下腹部痛(特にS状結腸周囲)
- 発熱
- 便通異常(下痢または便秘)
が典型です。
症状だけでは確定できない(似た病気がある)
憩室炎に似た症状を起こすものとして、
- 虚血性腸炎
- 急性腸炎
- 尿管結石
- 婦人科疾患(女性)
- まれに大腸がん
などもあり、痛みの部位や経過、年齢・既往で見分けが必要です。
受診の目安:外来でよいケース / 急ぐケース
外来で相談してよいことが多いケース
- 痛みはあるが 軽〜中等度
- 水分がとれている
- 高熱ではない(目安:微熱〜37℃台程度)
- 強い腹膜刺激症状がない(反跳痛など)
- 持病が少なく全身状態が安定している
早めに受診(当日〜救急)を検討するケース
- 38℃以上の発熱
- 痛みが強い、歩くのもつらい
- 吐き気・嘔吐で水分がとれない
- 押すと強く痛い、反跳痛がある(腹膜炎の可能性)
- 高齢、免疫抑制(ステロイド・抗TNF等)、腎不全など持病がある
- 症状が急速に悪化している
検査は何をする?
1)採血
炎症(白血球、CRP)や脱水の程度を確認します。
2)CT(重症度の評価に重要)
憩室炎の診断・重症度判定では、状況に応じてCTが有用です。
とくに、膿瘍(うみだまり)や穿孔(穴があく)など合併症の有無を確認する目的で行います。
3)大腸カメラは“急性期は原則あとで”
炎症が強い急性期に無理に大腸カメラを行うと負担になるため、落ち着いてから適切なタイミングで検討します(必要性は症状や既往で変わります)。
抗菌薬が必要なケース / 不要なケース(考え方)
ここが一番気になる点だと思います。
結論からいうと、憩室炎はすべてが抗菌薬必須ではなく、重症度や背景で判断します。
抗菌薬を検討することが多いケース
- 発熱がしっかりある、炎症反応が高い
- 痛みが強い、圧痛が強い
- CTで炎症が強い所見がある
- 高齢、糖尿病、腎機能低下、免疫抑制など合併症がある
- 膿瘍形成など合併症が疑われる
抗菌薬なし(対症療法)で経過を見ることがあるケース
- 軽症で全身状態が良い
- 水分摂取できる、嘔吐がない
- 炎症反応が軽い
- CTで重い所見がない(または臨床的に軽症と判断)
※実臨床では「まず軽症として対応→翌日〜数日で再評価」など、安全側にフォローを組むことが大切です。
自宅での過ごし方(外来軽症の場合)
- まずは消化の良い食事、痛みが強い日は一時的に負担を減らす
- 水分をしっかり(脱水予防)
- 痛み止めは種類に注意(持病や胃腸リスクで選択が変わります)
- 症状が悪化(高熱、増悪痛、嘔吐)するなら早めに再受診
よくある質問(Q&A)
Q1. 憩室があると言われました。必ず憩室炎になりますか?
A. いいえ。憩室があっても一生炎症を起こさない方も多いです。ただし、腹痛や発熱が出たときに鑑別として重要になります。
Q2. 何度も繰り返します。手術になりますか?
A. 繰り返しの頻度、重症度、合併症の有無で判断します。多くは内科的治療で対応できますが、繰り返す場合や穿孔を認める場合などは外科相談を検討します。
Q3. 大腸カメラはいつ受けるべき?
A. 急性期が落ち着いてから、必要性を判断します。初回発症や画像所見によっては、背景疾患の確認のために検討することがあります。
Q4. 食事で予防できますか?
A. 便通を整えることは大切です。急性期が落ち着いてから、食物繊維の取り方などを個別に相談します(痛みがある時期は無理をしないのが基本です)。
まとめ
- 左下腹部痛+発熱は 大腸憩室炎がよくある原因
- 診断と重症度評価に 採血とCTが有用
- 抗菌薬は「全員に必須」ではなく、重症度・合併症・背景で判断
- 高熱、増悪痛、嘔吐、反跳痛などがあれば 早めに受診(救急含む)
にしな内科(尼崎市立花駅前)
消化器内科・内視鏡診療
副院長 鍋嶋 克敏
にしな内科
JR神戸線立花駅を下車、駅直結の徒歩1分、雨にぬれずに来院できます。アクセス良好につき、尼崎市、神戸市、西宮市、芦屋市、伊丹市、大阪市など各方面からも多くの患者様にご来院頂いております。
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副院長:鍋嶋 克敏 医師紹介
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