COLUMN
医療コラム
「血便・長引く下痢は要注意」知らないと見逃しがちな潰瘍性大腸炎のサイン
尼崎市立花駅前のにしな内科で、消化器内科・内視鏡診療(胃カメラ・大腸カメラ)を担当している副院長の鍋嶋克敏です。
「下痢が続く」「血のまじった便が出る」「お腹が痛い」
こうした症状が数週間以上続くときに疑われる病気のひとつが 潰瘍性大腸炎です。
この病気は、大腸の粘膜に炎症が起こり、良くなったり悪くなったりをくり返すという特徴があります。若い方にも多く、日本でも年々患者さんが増えています。
典型的な症状は次のとおりです:
- 水のような下痢が続く
- 血便や粘液のまじった便が出る
- 下腹部の痛み
- 発熱、倦怠感
- 貧血
軽症の場合は「ただの腸炎」と思ってしまい、受診が遅れることもあります。

潰瘍性大腸炎の診断
正確な診断には大腸カメラが必要です
潰瘍性大腸炎は、症状だけでは診断ができません。血液検査も参考になりますが、確定するには 大腸カメラが必ず必要になります。
大腸カメラでは、
- 粘膜の炎症やただれ
- 出血している部分
- 病変がどの範囲まで広がっているか
- 小さな組織を採取し顕微鏡で確認(生検)
といった情報を詳しく調べることができます。
潰瘍性大腸炎の治療
ゴールは“症状が消えること”だけではありません
潰瘍性大腸炎の治療では、腹痛や下痢が改善するだけでは不十分な場合があります。最も大切なのは 大腸の粘膜がきれいな状態に回復すること(粘膜治癒) です。
粘膜が治ると:
- 再発しにくくなる
- 入院や手術が必要になる確率が減る
- 日常生活の質が高まる
- 大腸がんのリスクが下がる
といった大きなメリットがあります。
使用するお薬の種類
症状の重さや炎症の強さに応じて、以下の薬を組み合わせます。
- メサラジン(5-ASA):基本となるお薬
- ステロイド:炎症が強いときの短期間の治療
- 免疫を調整する薬
- 生物学的製剤・内服タイプの新しい治療薬
近年は副作用が比較的少なく、効果が高い新しい薬も増えています。適切に薬を継続することで、長く安定した状態を保てる患者さんが増えています。
再発を防ぐために大切なこと
- お薬を自己判断でやめない
- 睡眠をしっかりとる
- ストレスをため込まない
- 市販の痛み止め(NSAIDs)は悪化の原因になることがある
症状が落ち着いていても、治療の継続が再発予防につながります。
大腸がんとの関係
潰瘍性大腸炎の方は大腸がんのリスクが上がります
長年、大腸に炎症が続くと、大腸がんの発生率が一般の方より高くなることがわかっています。
特に以下の方は注意が必要です:
- 病気の期間が10年以上
- 大腸全体に炎症があるタイプ
- 再燃(悪化)をくり返している
- 原発性硬化性胆管炎という胆道の病気を合併
- 家族に大腸がんの方がいる
早期発見の鍵は「定期的な大腸カメラ」
潰瘍性大腸炎の方は、一般の方とは異なるタイプの前がん病変が出ることがあります。
そのため、詳細に観察できる大腸カメラが非常に重要になります。
当院では、拡大観察・色素を使った観察・NBI内視鏡 を用いて細かな病変も見逃さないように丁寧に確認します。
まとめ
潰瘍性大腸炎は、適切な治療と定期検査で長く安定を保てる病気です
潰瘍性大腸炎は一生つき合う病気ですが、治療の進歩と負担の少ない内視鏡検査のおかげで、日常生活を変わらず送ることが十分可能です。
そして何より大切なのは、大腸カメラを「つらくない形」で定期的に受け続けられること。
当院では、
- 眠ったまま受けられる大腸内視鏡
- 痛みを最小限にする細径スコープ
- 炭酸ガス使用でお腹が張りにくい検査
- 検査前後の丁寧なサポート
を通じて、患者さんの負担を最大限減らしています。
「便に血が混じる」「下痢が続く」「お腹の調子がずっと悪い」、こうした症状は、大腸からの大切なサインです。症状や悩まれていることがあれば、一度当院までご相談ください。
にしな内科(立花駅前)
消化器内科・内視鏡診療
副院長 鍋嶋 克敏